この記事で解決すること

「PCで見たら普通なのに、スマホで見るとレイアウトが崩れる…」

Webサイトを作っていると、画面サイズの違いに悩まされます。この問題を解決するのが「レスポンシブデザイン」です。この記事では、メディアクエリの書き方を中心に、スマホ対応の基本を一歩ずつ解説します。

HTMLの基本がまだ不安な方は、先にHTMLの基本構造を理解しようを読んでおくとスムーズです。

レスポンシブデザインとは

レスポンシブデザインとは、画面サイズに応じてレイアウトを自動で切り替える設計手法のことです。

1つのHTMLファイルで、PC・タブレット・スマホのすべてに対応します。デバイスごとに別々のページを作る必要はありません。

PC(1200px)         タブレット(768px)    スマホ(375px)
┌──┬──┬──┐          ┌──┬──┐              ┌──┐
│  │  │  │          │  │  │              │  │
│  │  │  │          ├──┴──┤              ├──┤
│  │  │  │          │     │              │  │
└──┴──┴──┘          └─────┘              ├──┤
  3カラム              2カラム             │  │
                                         └──┘
                                          1カラム

Googleは2019年から「モバイルファーストインデックス」を採用しています。スマホ版のページを基準に検索順位を決めるため、レスポンシブ対応はSEOの面でも重要です。

viewportメタタグ ― 最初に必ず書く1行

レスポンシブデザインを機能させるには、HTMLの <head> 内に以下の1行が必要です。

<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0">

なぜ必要なのか

この記述がないと、スマホのブラウザは「このページはPC用だ」と判断します。結果として、PC向けの幅(通常980px)で表示してから画面に収まるよう縮小するため、文字が極端に小さくなります。

viewportなし:                viewportあり:
┌─────────────────┐          ┌──────────┐
│ とても小さい文字で│          │ 読みやすい │
│ 全体が縮小表示   │          │ サイズで   │
│ される          │          │ 表示される │
└─────────────────┘          └──────────┘

各パラメータの意味

パラメータ意味
width=device-width表示幅をデバイスの画面幅に合わせる
initial-scale=1.0初期表示の拡大率を100%にする

HTMLの基本構造のテンプレートにはすでにこの記述が含まれています。自分で一から書く場合は忘れずに追加してください。

メディアクエリの基本 ― CSSで画面幅を判定する

メディアクエリは、画面幅などの条件に応じてCSSを切り替える仕組みです。@media というルールを使います。

基本の書き方

/* 画面幅が768px以下のとき適用される */
@media (max-width: 768px) {
  .container {
    flex-direction: column;
  }
}

@media (条件) { ... } の中に書いたCSSは、条件を満たしたときだけ適用されます。

max-width と min-width の違い

/* max-width: ○○px以下のとき */
@media (max-width: 768px) {
  /* タブレット以下で適用 */
}

/* min-width: ○○px以上のとき */
@media (min-width: 769px) {
  /* タブレット以上で適用 */
}
書き方意味使う場面
max-width指定した幅以下で適用PC基準で書いてスマホ用に上書き
min-width指定した幅以上で適用スマホ基準で書いてPC用に上書き

モバイルファーストという考え方

レスポンシブデザインには「デスクトップファースト」と「モバイルファースト」の2つのアプローチがあります。

デスクトップファースト(max-width)

PC向けのCSSを先に書き、max-width で小さい画面用に上書きします。

/* PC用(デフォルト) */
.nav {
  display: flex;
  gap: 24px;
}

/* タブレット以下で上書き */
@media (max-width: 768px) {
  .nav {
    flex-direction: column;
    gap: 8px;
  }
}

モバイルファースト(min-width)★推奨

スマホ向けのCSSを先に書き、min-width で大きい画面用に拡張します。

/* スマホ用(デフォルト) */
.nav {
  display: flex;
  flex-direction: column;
  gap: 8px;
}

/* タブレット以上で拡張 */
@media (min-width: 769px) {
  .nav {
    flex-direction: row;
    gap: 24px;
  }
}

モバイルファーストが推奨される理由は3つあります。

  1. スマホのCSSはシンプルになりやすい(1カラム、縦並びが基本)
  2. Googleがモバイル版を優先的に評価する
  3. 小さい画面から大きい画面へ「足していく」方が設計しやすい

要素の並べ方にはFlexboxが便利です。横並びや折り返しの基本パターンはFlexboxの基本パターン5つで解説しています。

よく使うブレイクポイント

ブレイクポイントとは、レイアウトを切り替える画面幅の境界値のことです。

定番のブレイクポイント

/* スマホ(デフォルト) */
/* 〜 767px */

/* タブレット */
@media (min-width: 768px) { ... }

/* デスクトップ */
@media (min-width: 1024px) { ... }

/* 大画面 */
@media (min-width: 1280px) { ... }

なぜこの数値なのか

ブレイクポイント根拠
768pxiPadの縦向き幅(768px)を基準
1024pxiPadの横向き幅・小型ノートPC
1280px一般的なデスクトップモニター

ただし、これはあくまで目安です。自分のサイトのデザインが崩れるポイントに合わせて調整するのが理想です。

実践例1:ナビゲーションメニューのレスポンシブ対応

PCでは横並び、スマホでは縦並びに切り替えるナビゲーションを作ります。

HTML

<nav class="nav">
  <a href="/" class="nav-logo">MySite</a>
  <ul class="nav-links">
    <li><a href="/about">About</a></li>
    <li><a href="/blog">Blog</a></li>
    <li><a href="/contact">Contact</a></li>
  </ul>
</nav>

CSS(モバイルファースト)

/* スマホ用(デフォルト) */
.nav {
  display: flex;
  flex-direction: column;
  padding: 16px;
}

.nav-links {
  display: flex;
  flex-direction: column;
  gap: 8px;
  list-style: none;
  padding: 0;
}

/* タブレット以上 */
@media (min-width: 768px) {
  .nav {
    flex-direction: row;
    justify-content: space-between;
    align-items: center;
  }

  .nav-links {
    flex-direction: row;
    gap: 24px;
  }
}
スマホ表示:              PC表示:
┌──────────┐            ┌──────────────────────────┐
│ MySite   │            │ MySite    About Blog Contact │
│ About    │            └──────────────────────────┘
│ Blog     │
│ Contact  │
└──────────┘

要素を中央に寄せたい場合は、HTML/CSSで「中央寄せ」する方法まとめも参考にしてみてください。

実践例2:カードレイアウトのレスポンシブ対応

ブログの記事一覧やポートフォリオでよく使うカード型レイアウトです。

HTML

<div class="card-grid">
  <div class="card">
    <h3>記事タイトル1</h3>
    <p>記事の概要テキストが入ります。</p>
  </div>
  <div class="card">
    <h3>記事タイトル2</h3>
    <p>記事の概要テキストが入ります。</p>
  </div>
  <div class="card">
    <h3>記事タイトル3</h3>
    <p>記事の概要テキストが入ります。</p>
  </div>
</div>

CSS(モバイルファースト)

/* スマホ用(デフォルト):1カラム */
.card-grid {
  display: grid;
  gap: 16px;
  padding: 16px;
}

.card {
  background: #f9f9f9;
  border-radius: 8px;
  padding: 24px;
}

/* タブレット:2カラム */
@media (min-width: 768px) {
  .card-grid {
    grid-template-columns: repeat(2, 1fr);
    gap: 24px;
  }
}

/* デスクトップ:3カラム */
@media (min-width: 1024px) {
  .card-grid {
    grid-template-columns: repeat(3, 1fr);
  }
}
スマホ:        タブレット:       デスクトップ:
┌──────┐      ┌──────┬──────┐   ┌────┬────┬────┐
│  1   │      │  1   │  2   │   │ 1  │ 2  │ 3  │
├──────┤      ├──────┴──────┤   └────┴────┴────┘
│  2   │      │      3      │
├──────┤      └─────────────┘
│  3   │
└──────┘

この例では grid-template-columns を使っています。CSS Gridの基本についてはCSS Gridの基本を図解で解説した記事で詳しく紹介しています。

レスポンシブ対応でよくある注意点

画像がはみ出す

画像にデフォルトの幅制限がないため、大きな画像がコンテナからはみ出すことがあります。以下のCSSをグローバルに指定しておくと安心です。

img {
  max-width: 100%;
  height: auto;
}

フォントサイズが小さすぎる・大きすぎる

画面幅に応じてフォントサイズを調整するには clamp() が便利です。

h1 {
  /* 最小16px、推奨4vw、最大32px */
  font-size: clamp(16px, 4vw, 32px);
}

clamp(最小値, 推奨値, 最大値) を使うと、メディアクエリを書かなくても滑らかにサイズが変化します。

ブレイクポイントを増やしすぎる

ブレイクポイントが多すぎると、CSSの管理が複雑になります。まずは2〜3個(768px、1024px)から始めて、必要に応じて追加するのがおすすめです。

テスト不足

Chrome DevToolsの「デバイスツールバー」を使えば、さまざまな画面サイズでの表示を確認できます。

Chrome DevToolsの開き方:
1. ページ上で右クリック → 「検証」
2. 左上のデバイスアイコンをクリック
3. 画面上部でデバイスを選択(iPhone, iPad など)

実際のスマホでも確認することを忘れないでください。エミュレータと実機では表示が異なることがあります。

よくある質問(FAQ)

Q: メディアクエリはCSSファイルのどこに書けばいいですか?

A: 対象のスタイルの近くに書くのが管理しやすいです。モバイルファーストの場合、各セクションのスマホ用CSSの直後にメディアクエリを書きます。ファイル末尾にまとめて書く方法もありますが、スタイルが増えると対応関係が分かりにくくなるため、コンポーネントごとにまとめる方法をおすすめします。

Q: pxem のどちらでブレイクポイントを指定すべきですか?

A: どちらでも動作しますが、px の方が直感的で分かりやすいです。em を使うとユーザーのフォントサイズ設定に応じてブレイクポイントが変わるメリットがありますが、初心者のうちは px で統一して問題ありません。

Q: レスポンシブ対応とアダプティブデザインの違いは何ですか?

A: レスポンシブデザインは1つのHTMLで画面幅に応じてCSSを切り替えます。アダプティブデザインはデバイスごとに異なるHTMLやテンプレートを用意する手法です。現在はレスポンシブデザインが主流で、Googleも推奨しています。

Q: CSSフレームワーク(Bootstrapなど)を使えばメディアクエリは書かなくていいですか?

A: フレームワークには既にレスポンシブ用のクラスが用意されているため、基本的なレイアウトはメディアクエリなしで対応できます。ただし、細かいカスタマイズにはメディアクエリの知識が必要です。仕組みを理解した上でフレームワークを使うと、トラブル時に自分で対処できるようになります。

Q: 完成したレスポンシブサイトを公開するにはどうすればいいですか?

A: 静的サイトであれば、GitHub Pagesを使って無料で公開できます。手順はGitHub Pagesでサイトを公開する方法で解説しています。

まとめ

  • レスポンシブデザインは、1つのHTMLで複数の画面サイズに対応する設計手法
  • <meta name="viewport"> タグは必ず <head> 内に書く
  • メディアクエリ @media で画面幅に応じたCSSを切り替える
  • モバイルファースト(min-width)で書くのが現在の主流
  • ブレイクポイントは768px・1024pxの2つから始めるのがおすすめ
  • Chrome DevToolsと実機の両方でテストする

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